天然ガスは“無臭”
都市ガスやプロパンガスには、玉ネギや卵の腐ったようなニオイが付いています。
本来、燃料に使用される多くのガスは無色・無臭で、桐生ガスの原料ガス(天然ガス)も同様です。
さて、ニオイといってもただ付ければよいというものではありません。もし、ガスが漏れた場合に気づきにくいのでは用を為しません。また、人畜無害であること、完全燃焼し、燃焼後は無臭でかつ有害な物質を発生しないこと、微量でも特有なニオイが感じられる物質であることなどの性質が要求される訳です。
ガスの付臭剤として使用される物質には、こんなものがあります。
- ターシャリーブチルメルカプタン(玉ネギの腐ったような臭い)
- ジメチルサルファイド(ニンニクから出るような臭い)
- テトラヒドロチオフェン(昔の石炭ガスのような臭い)
“ガスの付臭剤”は、人間が本能的に危ないと察知できるような臭いでなければなりません。「あら、いい香り、一体何かしら。」などとウットリされるようでは困ります。そして、一般的な生活臭ともはっきり区別できることが必要です。
このように“ガスの付臭剤”は生活の中で「頼もしい味方」であり、けっして「クサイ鼻つまみ者」でないことを皆さんに知っていただきたいのです。
「におい」という用語
"におい"と"ニオイ"とは
「におい」という用語は、一般に”におい”、”ニオイ”、”臭い”、”匂い”と表現し、統一はされていませんが、最近は”におい”と記されていることが多いようです。
”におい”は、においという用語の総称であり、良いにおいと悪いにおいの両方に用いられます。したがって、鼻で感じられる快いにおいから鼻をつく不快なにおいまで広く使われているのです。
カタカナ表記である”ニオイ”は、嗅感覚(気体分子が嗅細胞に到達することによって嗅覚系で生起する感覚)あるいはそれを発現させる気体分子に対する表現として学術的な説明の中で多く用いられているようです。
"臭い"と"匂い"とは
鼻で感じられる”におい”が不快なにおいと快いにおいに分かれると、その感じ方を”臭い”と”匂い”という表現で区別できます。
不快なにおいは「臭気」(malodor)といい、その感じ方を”臭い”と表現しています。「臭気」は一般に不快なにおいの総称で、マスキング・中和・相殺作用などの必要性があるようなにおいを示します。更に不快なにおいを強調するときは「悪臭」といい、生理的な面よりむしろ心理的に不快感を起こさせるにおいを示します。
快いにおいは「香り」「香料」(odorまたはaroma)といい、その感じ方を”匂い”と表現しています。
英語圏でよく使われる表現
【動詞】
Incenseは香を焚きこめる、perfumeは香水をつける、scentは幅広くにおいを嗅ぐ、stinkは悪臭を放つ、smellはにおいがするで一般に広く使われています。ガスの場合も”smell”が多く使用されるようです。
【名詞】
悪臭に使われるものは、stink、stench、malodorがあり、鼻をつまみたくなる悪臭、むかつく臭気の意が強く、中位的な使われ方はodorがあります。 良いにおいに使われるものは、incense、bouquet、fragrance、perfume、scent、aroma、flavor などがあります。
また、この中でよく耳にするfragrance、perfume、aroma、flavorについては香料を取り扱う業界では次のような分け方をしているようです。
”fragrance”は樹木、花、草、などの発散するにおいで新鮮で香ばしいにおい。
”perfume”はもともとperfumumのラテン語を語源として、煙(燃焼)によって燻する意があり、自然にまたは人工的に発するにおい。
”aroma”はギリシャ語のaroma'ラテン語のaroma、aromatic(香ばしきもの)に由来しているようですが、日本訳用語で適確なことばがないまま使われています。
【参考表現】
ガス器具を使うといやなにおいがする。 [他人表現]
If an unpleasant odor develops When you are using a gas appliance.
部屋(キッチン)でガス臭いです。 [自己表現]
There's a smell of gas in the room. (kitchen)